
新潟県阿賀町の津川商店街で、7月から始めた「あがまちベース」のぶつぶつ交換所。9月の来店データをまとめてみると、小さな拠点の可能性が、少しずつ数字にも表れてきました。
9月は10営業日で延べ138人が来店。確認できただけでも、町外からの来店が65人、リピーターの来店が74人ありました。
毎回、特別なイベントを開いているわけではありません。基本的には、休日の午前中、3時間ほど交換所を開けています。
それでも、町外から訪れる方がいて、何度も足を運んでくれる方がいる。
「これは、結構すごいことが起きているのではないか」
数字を見ながら、そんな手応えを感じています。

7月から9月までの来店状況は、次のとおりです。
| 月 | 延べ来店者数 |
|---|---|
| 2026年7月 | 142人 |
| 2026年8月 | 170人 |
| 2026年9月 | 138人 |
| 3か月合計 | 450人 |
9月の営業日数は10日。1営業日あたりでは、平均13.8人が訪れてくれた計算です。
町外からの来店65人、リピーターの来店74人は、全員に確認できている数字ではありません。また、町外の方がリピーターでもある場合があるため、二つの数字を足して来店者数とはできません。延べ人数には、同じ方の複数回の来店も含まれます。
まだ3か月の記録ですが、町の外から足を運ぶ理由と、もう一度訪れる理由が、この場所に生まれている。
私はそこに意味があると感じています。
数字とあわせて、印象に残っている出来事があります。
新発田から保育士さんが来てくださり、おもちゃやぬいぐるみをたくさん持ち帰ってくれました。限られた予算の中で運営する保育園にとって、こうした場所があると助かる、というお話も伺いました。
以前には、五泉から保育士さんが来てくださったこともあります。
家庭では使われなくなったおもちゃでも、別の場所には必要としている人がいる。モノをつなぐ先は、個人の暮らしだけではないのだと気づかされました。
もちろん、子どもたちが使うものは、状態や安全性、衛生面を確認して活用することが大切です。そのうえで、地域に眠っているモノが、子どもたちの遊びや学びを支える資源になる可能性があります。
こうした使われ方は、実際に場所を開け、人と話してみて初めて見えてきたものでした。

ぶつぶつ交換所の仕組みは、とてもシンプルです。
「自分はもう使わないけれど、誰かに使ってもらえたら」
そんなモノを地域の方などに持ってきていただき、必要とする人に持ち帰ってもらっています。そのため、モノの仕入れ費用は基本的にかかりません。
一方で、受け取り、状態の確認、整理、陳列、店番、清掃には時間と手間がかかります。場所を維持する費用も必要です。
仕入れがほぼ0円であることと、運営費がかからないことは別です。
地域に役立つ場所を長く続けるためには、誰が担い、どの費用をどう支えるのかも考えなければなりません。
来店者数だけでなく、運営の負担にも目を向けながら、無理なく続く仕組みに育てていきたいと思っています。
交換所を開けていると、モノを見に来た方と会話が生まれます。また来てくれる方がいて、友人や家族を連れてきてくれることもあります。
こうした日々のやり取りから感じるのは、町を訪れる小さな目的を増やすことも、地域に人の動きをつくる方法になるということです。
ぶつぶつ交換所に立ち寄る。
ごはん会で食卓を囲む。
商店街のお店をのぞく。
古民家宿に泊まる。
地域の人と話す。
「ちょっと行ってみようかな」と思える理由が町の中にいくつもあれば、一つの訪問が、次の場所や次の関わりにつながる可能性があります。
現時点で、交換所への来店が周辺店舗の売上や移住にどれだけつながったかまでは分かりません。これからは、来店をきっかけにどんな行動やつながりが生まれたのかも、少しずつ確かめていきたいと考えています。
私は、こうした拠点を津川商店街の中に増やしていきたいと思っています。
暮らしに必要なモノを探せる。一緒にごはんを食べられる。空き家の相談ができる。地域で何かを始めたい人が、相談相手に出会える。
自分や誰かの困りごとを解決するためにも、人が訪れる商店街。
それが、私の考える「社会課題解決型商店街」です。あがまちベースのぶつぶつ交換所は、その小さな実験の一つです。
空き店舗や使われていないモノに役割をつくり、人が関わる機会につなげる。その先に、管理や運営、地域の仕事を担う人の収入も生まれる。
そんな循環を目指しています。

この取り組みは、私が一から考えたものではありません。
三条ベースの取り組みから学び、それを阿賀町で実践しています。地域にあるモノや場所、人の力を生かす考え方を教わり、現場で試す中で、阿賀町ならではの使われ方が見えてきました。
学んだことを実際に動かし、そこで生まれた気づきを次の工夫につなげる。その積み重ねを大切にしています。
自分の地域でも取り組んでみたいという方には、三条ベースの実践や考え方に触れ、担い手や運営の仕組みも含めて学んでいただけたらと思います。
始めてから3か月。毎月100人以上の来店があり、町外から訪れる方や、繰り返し来てくれる方がいます。
その一人ひとりとの会話から、モノを循環させる場所が果たせる役割を、私自身も学んでいるところです。
これからも記録を取りながら、来る人にも、モノを持ち寄る人にも、運営する人にも意味のある場所を育てていきます。
来てくださった皆さん、モノを持ってきてくださった皆さん、運営に関わってくださる皆さん、ありがとうございます。
10月も、気軽に立ち寄れる場所として開けていきます。営業日のお知らせをご確認のうえ、ぜひ遊びに来てください。
空き家・空き店舗の活用、相続した実家、地域資産を生かした事業づくりについて、お気軽にご相談ください。
合同会社High Bridgeは、新潟県新潟市に所在地を置き、阿賀町を主な活動拠点として、所有者の想い、建物の状況、事業としての可能性を整理するお手伝いをしています。
新潟県内を中心に、内容に応じて全国の専門家・事業者とも連携します。オンラインでのご相談も可能です。
高橋眞也/合同会社High Bridge・阿賀まちづくり株式会社 代表
地域に眠る資産を、次の価値へ。