
実家が空き家になったものの、何から手をつければよいか分からない。売るか貸すか迷っているうちに、草刈りや雪への対応だけが続いている。
そんなとき、選択肢の一つになるのが「空き家バンク」です。
私は阿賀町を主な活動拠点に、不動産賃貸業、空き家活用、古民家宿の運営に取り組んでいます。大切にしているのは、所有者の想いと建物の現状を整理し、次に使う人へつなげることです。
今回は、阿賀町の制度をもとに、登録の流れと準備のポイントをお伝えします。
空き家バンクは、売却や賃貸を希望する所有者の物件情報を、利用希望者に届ける仕組みです。自治体によって運用が異なるため、物件がある市町村の案内を確認します。
阿賀町では、町がホームページなどで情報を公開し、利用希望者につなぎます。ただし、町は物件の斡旋・仲介を行わず、交渉・契約は所有者と利用希望者が行います。
登録は、次の使い手を探すための入口です。成約や建物の品質が保証されるものではないので、条件の整理や専門家への相談もあわせて進めることが大切です。

私なら、まず次の四つを整理します。すべてが分からなくても、確認が必要な点を見えるようにするだけで相談しやすくなります。
一つ目は、誰が所有し、誰が判断できるか。
土地と建物の名義、共有者の有無、相続の手続き状況を確認します。名義や相続に不明点があれば、司法書士などに相談しながら進めます。
二つ目は、売りたいのか、貸したいのか。
手放して管理負担を減らしたいのか、所有を続けながら家賃収入につなげたいのか。家族の考えも含めて整理します。賃貸を考える場合は、修繕費や管理の手間、空室期間も見込んでおきたいところです。
三つ目は、建物の状態です。
雨漏り、床の傷み、水回り、残っている家財など、分かる範囲で写真やメモに残します。不具合と「まだ確認できていないこと」を分けて伝えると、次の調査につながります。
四つ目は、地域で暮らすための情報です。
駐車場所、冬の除雪、買い物への移動、近隣との関わりなども、利用する人には大切な情報です。間取りだけでなく、暮らしの具体像が伝わる準備をしておきます。
町の公式案内では、提供の意思確認、申請、台帳への登録、情報公開、利用希望者の紹介、交渉・契約という流れです。
申請先は阿賀町まちづくり観光課。登録申請書と誓約書に、間取り図、物件写真、位置図、本人確認書類を添えます。書類の準備や申請に不安がある方は、私が事務局長を務める全国空き家アドバイザー協議会 新潟県阿賀支部でもご相談いただけます。
掲載後も、見学対応や条件の調整、建物の管理は必要です。遠方に住んでいる場合は、鍵の管理や現地対応を誰に頼めるかも考えておくと、その後の負担を減らせます。
「間取り図がない」「どんな写真を撮ればよいか分からない」「遠方に住んでいて、準備や提出が負担になる」。登録したい気持ちがあっても、手続きの準備で止まってしまうことがあります。
全国空き家アドバイザー協議会 新潟県阿賀支部では、空き家バンクへの登録に向けて、書類作成、間取り図の作成、物件の写真撮影、提出代行まで、トータルでサポートしています。
所有者の方と物件の状況やご希望を確認しながら、必要な準備を一緒に進めます。書類や写真がそろっていない段階でも、まずはご相談ください。
「自分ですべて準備してから相談しなければ」と考える必要はありません。何が分かっていて、どこに確認や支援が必要なのかを整理するところからお手伝いします。
阿賀支部が登録に向けた準備・申請を支え、登録の可否は町の制度に沿って確認されます。売却・賃貸の交渉や契約に進む際は、その段階で必要な専門家との連携も含めて考えていきます。
家の中にモノが残っていると、片付けだけでも大きな負担に感じます。
私は、残すもの、次の人が使えるもの、処分するものを分け、費用をかける前に方針を決めることが大切だと考えています。
阿賀町には、空き家バンクに関係する物件を対象とした家財道具等処分費の補助制度があります。対象者・物件・委託先などに条件があり、申請前に業者と契約したり作業を始めたりすると対象外になります。受付は年度の予算に達し次第終了するため、契約・作業前に町へ確認してください。
空き家の活用では、提示する金額と同じくらい、最終的にいくら残るか、どのくらい負担が続くかが大切です。
売却なら、片付けや必要な修繕、登記、仲介を依頼する場合の費用などを見込みます。賃貸なら、家賃から修繕費、管理費、税金、保険料などを差し引き、無理なく続けられるかを考えます。
例えば、貸すために大きな改修が必要なら、想定する家賃で何年かけて回収するのか。買い手を待つ間に、管理費や建物の傷みがどの程度増えるのか。こうした点を並べると、選択肢を比べやすくなります。
契約に進む際は、修繕や家財撤去の負担、引渡し時期などを明確にし、必要に応じて宅地建物取引業者や司法書士などに相談しましょう。
使われていない家でも、住まいを探している人や、地域で何かを始めたい人にとっては、大切な場所になる可能性があります。
その可能性を形にするには、建物の状態、使う人の希望、必要な費用を一つずつ確かめることが必要です。
大きく改修する前に相談する。家族の考えを整理する。まずは物件の写真を撮ってみる。できるところから始めることで、次の判断がしやすくなります。
私は、空き家を持つ方の負担を整理しながら、地域の住まいや仕事につながる使い方を一緒に考えていきたいと思っています。
空き家・古民家・相続した実家について、「売る・貸す・活用する」のどれから考えるべきか迷っている方は、お気軽にご相談ください。
合同会社High Bridgeは、新潟県新潟市に所在地を置き、阿賀町を主な活動拠点として、不動産や未活用資産の課題整理をお手伝いしています。
空き家・古民家のご相談は新潟県内を中心に、内容に応じて全国の専門家・事業者とも連携します。資産活用の課題整理は、オンラインでもご相談いただけます。
空き家バンクへの登録をご希望の方は、「空き家バンク登録の相談」とお知らせください。全国空き家アドバイザー協議会 新潟県阿賀支部で行う、書類作成・間取り図作成・写真撮影・提出代行のサポートにつなぎます。
物件の所在地、現在の状況、気になっていることを、分かる範囲でお知らせください。書類や写真がそろっていない段階でもご相談いただけます。
高橋眞也/合同会社High Bridge・阿賀まちづくり株式会社 代表
地域に眠る資産を、次の価値へ。