
新潟県阿賀町の津川商店街で、「とんぼのはじまり」と「あがまちベース」の取り組みを始めてから、少しずつ変化が見えてきました。
地域の方がモノを持ち寄る。町外から人が訪れる。世代の違う人たちが食卓を囲む。中学生が、地域の仕事に触れる。
前回は、この場所を始めた理由をお伝えしました。今回は、実際に起きてきたことと、続ける中で見えてきた課題を、現場の記録から振り返ります。
あがまちベースのぶつぶつ交換所には、2026年7月に延べ142人、8月に延べ170人が来場しました。合わせて17営業日で、延べ312人です。
| 記録項目 | 7月 | 8月 |
|---|---|---|
| 営業日数 | 9日 | 8日 |
| 延べ来場者数 | 142人 | 170人 |
| 1営業日あたり | 約16人 | 約21人 |
※独自集計。同じ方の複数回来場を含みます。
8月は、確認できた範囲だけで町外から79人が訪れました。全体の約46%です。8月16日には、1日で51人の来場がありました。
お盆時期の来場も多く、この数字だけで継続的な増加とは判断できません。それでも、午前中を中心に開けている小さな拠点が、町内外の人の立ち寄る場所になってきたことは、大切な変化です。
使わなくなったモノを持ってくる。必要なものを探す。店番の人と話す。
モノをきっかけに、阿賀町に関わる入口が生まれています。

モノの循環は、拠点の中にも表れています。
ヨリミチの公開記録では、「とんぼのはじまり」のキッチンにある食器棚や食器が、譲っていただいたものだと紹介されています。ヨリミチの開設記録
誰かの家で使われていなかったものが、人の集まる場所で使われる。地域資産を生かすという考え方が、実際の使い方になっています。
モノを提供することも、この場所への関わり方の一つです。
「とんぼのはじまり」では、料理や食材を持ち寄る「とんぼのごはん会」を開いています。
2026年8月22日の第2回には、27人が参加しました。地域の方に加え、大学生7人、町外から来ている高校生3人、お試し地域おこし協力隊の方などが集まり、年代は10代から80代まで広がりました。
食卓には、持ち寄りの料理やきゅうりの漬物、阿賀町で親しまれている「くじら汁」などが並びました。町外から来た方が、地域の味に触れる機会にもなりました。
ごはん会を開いたことで、普段は接点の少ない世代や立場の人が、同じ時間を過ごす場ができました。
この時間を重ねることが、顔の見える関係や、困ったときに声をかけられる関係の土台になると考えています。

三川中学校の生徒2人を、職場体験で受け入れる機会もありました。
空き家の課題について学び、古民家宿「奥阿賀七名庵らくら」を見学し、ぶつぶつ交換所の整理にも取り組んでもらいました。
空き家をどう使うか。モノをどう並べれば必要な人に届くか。地域にあるものから、どんな仕事をつくれるか。
こうした問いに現場で触れられることは、この拠点の大切な役割だと思っています。子どもたちが地域で何かを始める、その最初のきっかけを増やしていきたいです。

運営の難しさも具体的になっています。
持ち込まれるモノには、付属品がなく使いにくいものや、状態の確認が必要なものもあります。受け入れ、確認し、整理し、次の人につなぐまでには、人の手と保管場所が必要です。
店番の人件費や、場所を維持する費用も必要です。関わる人に無理が集中しない運営と、それを支える収入を考えることが欠かせません。
人が求めていることと、それを支えるために必要な仕事。その両方が、動かしてみることで見えてきました。
この経験をもとに、誰が何を担い、どのように費用をまかなうのかを整理し、続けられる仕組みに育てていきます。
ここまでに生まれたのは、人が訪れる機会、世代を超えて食卓を囲む機会、地域のモノが使われる機会、子どもたちが現場で学ぶ機会です。
これからは、その接点が再訪や運営への参加、地域のお店の利用、宿泊、住まいや仕事の相談へどうつながるのかも確かめたいと思っています。
High Bridgeが取り組む空き家・不動産の活用も、建物の使い方と、そこに関わる人の暮らしを一緒に考える仕事です。この現場で得られた経験を、地域資産を生かした事業づくりにつなげていきます。
モノを持ってくる。ごはんを食べる。片付けを手伝う。地域の仕事を見に来る。
その小さな関わりが、次の役割や仕事につながる場所へ。とんぼのはじまりとあがまちベースを、これからも育てていきたいと思っています。
空き家・古民家・相続した実家・不動産活用・地域事業づくりについて、お気軽にご相談ください。
合同会社High Bridgeは、新潟県新潟市に所在地を置き、阿賀町を主な活動拠点として、地域に眠る資産を次の価値へつなぐお手伝いをしています。
空き家・古民家のご相談は新潟県内を中心に、内容に応じて全国の専門家・事業者とも連携します。不動産・資産活用の課題整理は、地域を問わずオンラインでもご相談いただけます。
高橋眞也/合同会社High Bridge・阿賀まちづくり株式会社 代表
※2026年9月時点の活動記録に基づきます。来場者数は7・8月、ごはん会は8月22日の記録です。